積み木おじさんライブショー その5 また、見たい…

リグノ

アングーラ×2


「リグノ」は、わたしのなかでは、「ネフの積み木にしては積み木らしすぎる」と思っていた積み木です。
たしか、


「はじめてネフの積み木をさわる子どもに触れて欲しい積み木」


というのが、「リグノ」のうたい文句だった気がします。


1辺が5センチメートルの普通の立方体の積み木です。ただし、なかが、円柱状にくりぬかれています。
これだけ。
えーと、たしかなかに入っている円柱じょうの積み木が、長いのと短いのと2種類あるぐらいで、あとは、角もなければ、ひっかかるような部分もなく、同じ形が入っているだけです。


だから、本当に単純な積み木なのかなぁと思っていました。
でも、単純な積み木なら、わざわざネフじゃなくて、ピースのもっとたくさんはった積み木の方が……。


おもちゃの紹介の本で、他のネフの積み木との組み合わせて作った作品があったりして、それはちょっといいなぁと思っていたのですが、単品としての魅力は……。


うーむ。子どもにとっては、こういうオーソドックスなものもあった方がいいのかなぁ……。


てな感じで、まだまだ、購入にまではいたってなかったのです。


だから、パフォーマンスとは、なんか結びつかないのが、「リグノ」でした。
今回、前のテーブルに置いてあるのは知っていましたが、まあ、合わせ技に使うのかなぁぐらいに思っていました。


でも、なんと、「リグノ」単品のパフォーマンスがあったのですねぇ。


ひとつは、「流しそうめん」(笑)
「リグノ」の穴のなかを、ソーメンにみたてたチェーンリングを流します。
「みたてる」って、大事ですよ〜。
けっこう、それらしく流れて、うけておりました。


ただ、これは、わたしとでこねぇさんは、きっと、途中を飛びながら、円柱のパーツがなかを流れていくのだと思っていたので、ちょっと、期待をはずされた感じ(笑)
いや、よく考えたら、それはちょっと、無理かも……。もう、なんでもしてくれると信じてしまっていますねぇ。


1番おもしろい、やってみたい「リグノ」のパフォーマンスは、こんな感じでした。


相沢さん子どもたちに、


「あぶないと思ったら、すぐに逃げ出す準備をしておきなさい」


なんて言いながら、リグノをひたすら縦にどんどん積み上げていきます。
それも、自分の手の上で。


1ピースが、ネフスピールと同じ大きさなんですね。だから、全部を縦に1列に積むとかなりの高さになります。
たしか、1辺が5センチメートルで16ピースあるので、80センチメートル!!


「こういう積み方はねぇ、危険なので、大人の人しかしてはいけません……」


てなことを言いながら、80センチを全部手のひらに乗せてしまったのは、さすがです。


「あっ!」


バランスが崩れました。
積み木は、ステージから、子どもたちの頭の上にパラパラと……落ちて……落ちてこない?


なんと、積み木が、手の上で斜めになったまま倒れずになっています。1個、1個別々のはずの積み木が、なぜかひっついて止まっているのです。


「すっ、すげえ〜」


わたしは、ビックリ、唖然。となりで、


「なろほど」


の声が。


「いや、アレは、なかの積み木をちょっと指でずらしてあるんですよ」


すかさず、でこねぇさんが、小声で解説(笑)


「そうなんだ」


それに、あの一瞬で気づく、この人もすごいですねぇ。さすが、理系。
わたしが、気づかなすぎという説もありますが……本当に、大人なんだろうか(笑)


「実は、おじさんは、念力が使えるのです」


なんてことを相沢さんは、言っておられます。


「念力か〜。すげ〜」


一緒に見ている子は、わたしと同じレベルのようです(笑)


相沢さんは、念力で斜めになった積み木をもう1回真っ直ぐたてています。
もう、自分が念力を使ったような気分になってる子にむかって、でこねぇさんが、解説。


「あれはね……」


「えー、念力じゃなかったんや〜」


その一言を聞いて、でこねぇさんは、すごい後悔をされたそうな(笑)


いや、嘘をつきとおして夢を見させ続けるのもよし。また、真実をしらせるのもよしですよ。



最後は、大技でしめくくりです。


「『アングーラ』2つを使った大技と、さっき使った『リグノ』、『ネフスピール』、『アングーラ』、『セラ』、『キュービックス』、『ボーン』、『ヴィボ』など全部使った大技があるんだけど、どっちが見たい?」


という問いかけ。
でも、相沢さんのなかでは、今日、最後に作りたかったものは、決まっていたようですね(笑)


「全部つかうやつ〜」


という子どもたちの声もけっこう聞こえた気がしますが……。


「全部の方か……」


と、ちょっと作りかけるそぶりなんかもしたけど、「アングーラ」2つ使ったパターンを見せてくださいました。


うーむ。2つともというわけには、いかないか〜。


このパターンは、ピエール・クラーセンが、考案したものだという話でした。


「非常に、魅力的な男でして、天才というのは、ああいうのを言うんでしょう。
 気むずかしいところもあります。
 さて、この小さな2つのピースが種です」


てな話をしながら、種のまわりに少しずつずらしながら「アングーラ」2セットを平面に配置していきます。
ずれは、パーツが大きくなるに従って、大きくなります。
出来たのは、花のような不思議な文様です。


「さて、花が咲いたら、種はどうなるか知ってる?
 種はねぇ、なくなるんです。
 これが、クラーセンの天才のゆえんです。だから、必ず、種をとらないといけないと彼は言うんです」


そう語りながら、相沢さんは、1番最初においた、2つの小さなピースをはずすと、なんと、その平面に出来た文様を、ギュッと締め付けて、立てました。


アングーラ」2つ分ですからねぇ。けっこう重さだと思います。
でも、それを、ブリッジの上に載せて、見事、アングーラのお花が咲きました。


素晴らしい!!


でも、わたしが、相沢さんって、やっぱりわかってるよなぁ(生意気ですねぇ)と思ったのは、すべて終わった後のこの一言でした。


「じゃあ、子どもたち。この前にある積み木は、全部、おじさんの私物だから、近づいてきて、好きにさわって遊んでいいんだよ!」


今回も、パフォーマンスは、特別なそれようの積み木でされていたわけではなくて、けっこう使い込まれた、そしてその分だけ手になじんだ積み木でされていました。


そして、パフォーマンスの意味は、やっぱり、子どもたちに、


「あれに触れたい!」


と感じさせることだと思うのです。
だから、見せた(魅せた)後では、当然、さわらせないと……。


なんて、正しいんでしょう。


ということで、「積み木おじさんライブショー」は、終了しました。


そして、でこねぇさんになついていた子どもともお別れ。
さびしいので、


「さよなら」


はあんまり上手に言えないのです。
その気持ちは、よくわかる。


お母さんが、


「本当に、お世話になりました」


とあいさつしてくださいました。


その後、自動車のおいてあるアーカスに行くまでの会話。


「で、結局、あの子はなんだったのだろう」
「えっ、りんさんが、『ころぼっくる』で遊んでいる子じゃあ……」
「いやぁ。あんな子、知らんよ」


こうして、ライブショーは終わったのですが、積み木話は、もう少し続きます。