きつねの夕食会


さいしょ、読んだ時は、オチは好きだけど、できはどうだろう?


というような感想でした。
けっこう、好きなオチではあるけど、電気屋さんがでてきたところあたりから、もう読めていたし…。


でも、子どもたちの前で声に出して読んでみて、ちょっと、印象がかわりました。


安房直子さんの作品って、どれぐらいの年齢の読者に向けて書かれているのかわからないところがあるのですが、この作品は、かなり明確に、「子ども」を意識して書かれているような気がしました。


子どもはねぇ、すごく楽しく聞いていました。


ねこじゃらしの野原 とうふ屋さんの話


小さい小さいところにも、丁寧な世界があるんだよというそんな感じの連作です。
オチといえるオチはないんだけれども、妙に、ふむふむとうなずいてしまうようなお話です。


山の童話 風のローラースケート


「ねこじゃらしの野原」は、人物を中心に広がっていく連作でしたが、この「山の童話 風のローラースケート」は、世界が広がっていく感じでつながる連作です。


安房直子の作品は、わりと1話完結のものしか読んだことがないので、これは、すごく興味深かったです。


森の優しさ、ふところの深さだけではなくて、森野怖さみたいなものもちゃんと書かれていて、それが、また森の風景を魅力的にしています。


特に「花びらづくし」は、出だしから、思いがけないラストまで、すごいドキドキしました。


陰と陽の両方が、しっかりと入っているファンタジーというのは、素晴らしいものです。