ハンカチの上の花畑


タイトルから、「知ってる話だ」と思って読んだら、全然、展開が違っていました。
よく思い出してみると、きっとわたしが思っていたのは、「北風が忘れたハンカチ」だったのだと思います。


ちょっと、こわい話ですよねぇ。
でも、あんまり、「欲をかいてはいけません…」とか、「嘘をついてはいけません…」とか、教訓めいた感じではありません。
奥さんが、小人たちにプレゼントするとなんかも、自分の欲ではなくて、すごく自然な感じです。


でも、自然の流れとして、そうなってしまうんだなぁ。そういう風にできているんだなぁ。と何となく思ってしまうお話です。


素敵なマイホームにあこがれる気持ちなんかは、きっと、作者自身も思っていたんだろうなぁと…しみじみしてしまいます。


ライラック通りの帽子屋


これは、好きなタイプの話ですねぇ。
そして、のキレイに行って帰ってきます。


若い頃のお父さんとお母さんのエピソードが、なんとも、素敵です。


その気持ちを忘れずにいられるといいのですが……。


丘の上の小さな家


なにかを手に入れるためには、なにかを手放さなければならない。
たとえばこの物語の中では、手放さなければならなかったものは、「時間」。


でも、どちらの選択がよかったかは、わかりません。
そして、わたしたちは、今の選択を生きていくしかない。


それならばやっぱり、今の選択に肯定的でありたいけれど……。


最後は、オチになってないと思います。
でも、ちょっとわたしは泣いてしまいました。


また、安房直子の作品の中で、好きなのが増えた。


三日月村の黒猫


今回の本は、「異界」がテーマの話を集めてあるわけですが、職人さんのというテーマも、けっこう大きい気がします。


童話自体が、職人さんを主人公にすることが多いということもあると思うのですが、人にできないことをやれる職人さんは、どこかに秘密をもっているような気がするのかもしれません。


これも、「丘の上の小さな家」と同じように、異界にいって技術を習得して、習ってくるお話です。
そして、そのために、選択する。


実は、最後のオチは、この物語にとって必要ないのかもしれない。そう思うぐらい読んでいる間、不思議な時間がもてるお話でした。