愛ではなく


「みんな『愛』と言って、まるで1つのもののようにいうけれど、それぞれに形が全部違う」だから、「それは、自分自身で考えて行動しなければいけない。」


アイリーンとシドのやりとりが、とっても、好きなんですよ。
はじめて、自分の弱みを人に見せるアイリーン。彼女に、ジェームズとの別れを完全に決心したシドが話すというのが、言葉以上に、「それぞれ違う」ということを強調しています。


しかし、ケリーは、アイリーンのどこがよかったんでしょう?
それは、アイリーンでなくても、そう思う。
でも、「どこがよかった。」、「どこそこがよい。」というそういうことではなく、全部うけいれたからこそ、アイリーン自身も、ケリーが彼女のことを思っているということを感じたのだと思います。


そして、シドが行ってしまうことを決心してはじめて、


「とても愛してる」


というジェームズ。


なんか、いろいろな話が一気に終わりに向かって動いていくこの感じは、すごい気持ちのいいものです。


文庫版「愛でなく」は、これで完結。


アンジェラとノーマンの恋愛がかかれなかったのが、心残りです。


しかし、王様のジェームズへの申し出は、ビックリしました。
良く読めば、この結末は、「愛でなく」がはじまった時点から、また、王様に出会ったときから、あんなに明確にしっかりと物語で語られていたし。推理できるはずなのに。
なんか、虚をつかれた感じがしました。それと同時に、その場所こそ、彼がいるべき場所だという気も。


彼自身にとまどいがあるのは、自分の寿命が長くないことをしっているからでしょうか?
でも、だからこそ、急がなければならないとも思ったり。


目を離せない展開です。
すぐに、コミック版の続きを読もう(笑)