絶望のなかの不思議な明るさ


「夢の碑」の「鵺」あたりからだと思うのですが、この人の書く話が、めちゃくちゃ暗いはずなのに、なぜか、サラッとした印象になりました。


そこには、妄執や、いろいろな負の感情がかかれているのですが、それさえ全部ひっくるめて、不思議な明るさがでています。


それは、包容力といいかえても、いいのかもしれません。


悪いやつ、絶対の悪というのはある。
でも、それが、絶対の悪なのは、それがそれである限りしかたない。
だから、それすらも、認めてうけいれていこう。


うーん、言葉にするとなんか嘘くさいですが、そういう感じがするんですね。
この物語も、そうです。


かかれている事件そのもの、時代そのものは、とても血なまぐさいものですが、それでも、人間は、元気に生きている。
良いか、悪いかはわからないけど、元気に生きています。