月へ飛ぶ想い


木原敏江さんの作品で、すごく好きなお話に異類婚のお話があるのですが、「花かんむりの牢屋敷」は、そのテーマがかなりストレートに出た初期の作品だと思います。


根底には、「おとぎ話」を信じる心というのがあって、それは、実は、他のすべての木原作品にも通じている気がします。


表題作の「銀晶水」は、異常な欲望のお話ですが、そこに「おとぎ話」としてのそれでも根底に流れる「愛」が語られています。


異常さに目を背けて、否定していくのではなくて、それをふくめた上で、物語として昇華させていくということは、他人を理解していく上でも、かなり大切なことのような気がします。


そこは、自分自身もっとも見たくないところでもあり、誰かに理解して欲しい傷口であったりもします。