黄実花


文庫版「イティハーサ」最終巻です。


黄実花という存在は、お話のなかのアクセントぐらいに思っていたのですが、どうやら、そうではない様です。


那智も、アオヒコも、確かに、黄実花の話をすごく重要視しているんですね。


今回、気がついたのですが、アオヒコと桂のラストシーン。あのとき、セリフに書かれていない言葉。
あのときに、なんて言うべきなのかを教えているのが、黄実花なんです。


そういえば、アオヒコにしろ、一狼太にしろ、トオコにしろ、鷹野にしろ、「救い」を求めているキャラクターのなかで、黄実花は、あんまりその部分に必要を感じていないんですよね。(まあ、キョウジも、あんまり救いの必要を感じていないかも…)
そういう意味では、とても自然体で、ニュートラルなキャラクターとして、設定されているのかもしれません。
そういえば、亜神、威神(そして、目に見えぬ神々)の間で揺れ動くキャラクターたちのなかで、黄実花のみが、どの神にも属していないのでは?


「この物語は、ファンタジーではなくて、SFとして完結しなければならない」


みたいなことを確か水樹和佳子がインタビューで言っていたのを見た気がします。
そのときは、そのSFの意味、こだわりがわからなかったのですが、人の心の動きという物語のなかに、もう1つ、大きな物語があるんだよという意味だったのかなぁ…というか、これは、水樹版「百億の昼と千億の夜」だとい宣言だったのかなぁと思います。


うーむ。
1つの物語が終わった。感慨深いものがありますね。


ところで、わたしの持っている本ですが、初版で、誤植があります。
それも、1番最初の口絵のページに(笑)


「第4部 目に見え神々」


………。
見えるんかい!!


新しい版は、修正されているようでした。